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みみうち「次のステップに進むために2」

2023年1月13日更新

  地域支援通信 vol.18 高校進学までに身に付けておきたいこと  2022.11更新   

 

イラスト入りA4版はこちらからどうぞ 18 高校に進学するまでに[PDFファイル/489KB]

 義務教育を終えると、高等学校に進学する人だけでなく、社会に出る人もいます。小中学校で地域の学校に通っていた場合、幼いときから一緒に過ごしてきた周りの子たちが聞こえにくい状況を知っており、自然にサポートを受けていたことでしょう。様々な生徒が集まる高校では、聞こえにくい人と接したことのない生徒や補聴器や人工内耳を見たことがない生徒もいます。新しい人間関係を築いていくためにはより多くの人と関わり、他者とのやり取りやコミュニケーションの中で障害について正しい情報を提供し、互いを理解し合う必要があります。

 高等学校では難聴学級が設置されず、他の生徒と一緒に通常の学級で学ぶことになります。学習もこれまでに比べて難しくなるので、学校の授業だけでは理解できにくくなります。

 どのような学校を選択するのか、説明会やオープンスクールなどに参加し、学校の教育方針や雰囲気などを事前にしっかり情報収集してください。その際、どのような配慮が受けられるか、確認するとよいでしょう。

 卒業後の社会自立に向けて準備をする場でもあります。新しい環境で様々な経験を通し多様な場でより良い人間関係を築いていくために、次の3つのことを意識して育てていきましょう。

 

   1.自分の障害を他者に説明できる。

 自分の聞こえにくさに対する正しい知識を身に付けさせることが大切です。自立活動などの時間を使って、聴覚障害について調べたり、オージオグラムの見方から自分の聴力を正確に把握したりする学習を行いましょう。地域の学校に通う場合、補聴援助システム(ロジャーなど)を使用している人も多いでしょう。補聴器や人工内耳の必要性や補聴援助システムの効果的な使用法を学ばせ、他者に説明ができるよう整理させましょう。

 聞こえないことを強調するのではなく、どのような方法を用いると聴き取りやすくなることやサポートしてもらうとできることを考えさせましょう。自分の障害をそのまま受け入れ、肯定的に捉えることが大切です。思春期には自分と他者を比べ、孤独感を感じやすくなります。きこえにくいことでちょっとした会話が聞き取れず、誤解を生むことがあります。補聴器や人工内耳を付けると、1対1の会話では表情や口形を頼りに内容をつかむことができる、連絡が聞き取れないときは掲示板に書いてあることを確認すると分かるなど、「できる」「分かる」ための工夫を考えさせましょう。

 関わる先生や生徒に理解してもらうことは、誤解を受けないためにも必要なことです。配慮を受けることは「特別扱い」ではなく、みんなと一緒に過ごすために必要な「工夫」であることを分かってもらうために説明できるような力を身に付けさせましょう。どのように説明するのか、説明する範囲など、進学後の生活をイメージさせ、考えさせましょう。また、必要なサポートを受けたときも、お礼が言えるようマナーを身に付けておきましょう。

 

   2.自分でできることは自分でする、自信をつける。

 周りの人から「聞こえにくい」ことで様々なサポートを受ける機会があると思いますが、自分ができることでも周りの人にしてもらっていないでしょうか。周りの様子を見て、マナーを身に付けることが難しいため、様々な場面を想定してその場に応じた対応を学ばせることも必要です。これまで自分で意識してこなかった音に対するマナーについても確認させましょう。足音やパソコンのキータッチが耳障りな音であることなど、気づいていないことがあります。全校集会などではその場で分からないことを尋ねるのでなく後で聞くとか、静かな場所では足音に気を付けるなど、模擬的に対応をさせたり考えさせたりすることで少しずつ慣れるよう促しましょう。

 時間割の変更や行事や部活動など先生の連絡だけでなく、友達関係の中でも確認しておくべき情報があります。正しく情報収集するためには、メモを取り、間違いはないか確認する必要があります。要点のみを箇条書きにするなどメモの仕方を確認し、効果的にメモが取れるよう指導しましょう。聞き間違いをする場合があるので、周りの人にメモを見せて確認することができるとよいでしょう。

 学習については内容が高度になり、授業を受けるだけでは理解し身に付けていくことが難しくなります。宿題だけでなく、自分で理解するための自主学習の仕方を学ばせましょう。どのような方法が自分に合うのか、具体的な方法を示して実践させましょう。授業ノートを整理したり、まとめノートをつくったりするなど、効果が上がる方法をみつけられるよう指導しましょう。また、取れる資格や検定などに挑戦させることも大切です。努力するとできることを経験し、自信を付けることにもつながります。

 

  3.自分から関わろうとする積極的な態度

 新しい環境では、これまで経験したことのない体験ができます。この新しい体験を楽しめると、新しい学校でも過ごしやすくなります。失敗してもいいので、まずは「体験してみる」「積極的にかかわる」姿勢を身に付けたいものです。自分の得意な分野を意識させることで、自信につながり、失敗しても自分には「こういう得意なことがある」と割り切ることができます。

 学習では、より難易度が高く、授業の進み方も速くなっていきます。分からないことは辞書やインターネットなど、様々な調べ方を用いて、その都度調べる習慣を身に付けさせましょう。読書をすることで、新しい言葉やその使い方など、様々な表 現を学ぶことができます。内容を読み取る練習にもなるのはもちろんですが、読書の習慣があると辞書だけではわからない言葉の使い方を知ることができます。

 友達と話しているときにも聞き取りにくく、内容が分からない場面が多くなります。年齢が上がると内容が多岐にわたり、情報量が多くなります。そのため会話が複雑になってくるからです。また、次々に新しい言葉が仲間内で作られ、調べても分からない言葉も出てきます。分からないことを素直に友達に聞く姿勢や、自分が興味のあることについて友達に情報提供することも大切です。会話のキャッチボールができるようにするためには、様々なことに興味を持ち、情報を収集する必要があります。身近なことやニュースなどの情報を知り知識を広げるために、日ごろから新聞やニュースを提示したり、話題に挙げたりして、会話のキャッチボールが続くように話す機会を持ちましょう。

 授業だけでなく友達とのコミュニケーションの中でも、ICT機器なども積極的に活用できるようにしましょう。会話を文字で表示してくれるアプリなどの性能もよくなっています。実際に扱ってみて、操作法を学んでおきましょう。

 新しい環境で、心身ともに成長する時期は不安定になりがちです。中学校までに親しい友達や自分の居場所となる場を探しておきましょう。部活動や地域のかかわりなど、安心できる場があると困ったときに相談したり、頼ったりすることができます。また、保護者や学校も何かあったときの相談窓口を確保しておきましょう。進学先とも連携して、何かあったら相談できる体制を整えておきましょう。ろう学校は聴覚に障害のある子どもに関する相談機関でもあります。気軽にご相談ください。

 

学校の連絡先

  • ろう学校
  • 住所:〒856-0807 大村市宮小路3丁目5番5
  • 電話:0957-55-5400(校長室・事務室), 55-5406(職員室),55-5435(寄宿舎 FAX兼用)
  • ファクシミリ:55-5410 mail : rou@news.ed.jp
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