自立活動の指導に悩まれている先生方に向けた、情報の第3弾です。今回は言語に関する指導内容を紹介します。聴こえにくいことから語彙数が少なかったり、話の意味がつかめなかったりする子どもがいます。正しく聞き取れないと、日本語の習得が難しいものです。自立活動の時間に意識して取り組んでみましょう。
同じような内容でも、学年相応の言葉遣いや題材を扱うことも大切です。分かりやすいようにといつまでも簡単な言葉ばかりを使っていては、新しい言葉は増えず、広がりません。学年が上がっていくにつれ、子どものプライドも尊重し、内容を検討しながら活用してください。
語彙数が限られているため、話が広がらなかったり、内容を理解できなかったりする子どもがいます。言葉に関連性を持たせ、広げるための指導内容です。
(1) テーマを紙の中央に書く。
(2) テーマから連想される言葉を線でつなぎ、さらに連想する言葉を書きこんで右図のような地図をつくっていく。(付箋で書いたものを貼らせても良い)
(3) ある程度の言葉が出てきたら、それぞれ関連した言葉をグルーピングして整理していく。
語彙数が少ないと、本人が意図することを言葉で正しく表現できないこともあります。そのときは絵を描かせたり他の言葉で説明させたりして、教師が適切な言葉で表してあげましょう。子ども同士でその言葉を教えあうと、コミュニケーションの活動にもつながります。経験したことを思い出させて、関連する言葉と言葉をつなぎましょう。
また、言葉をグルーピングすることで、言葉の関連づけやカテゴリー化して覚えることにつながります。
ろう学校の幼稚部や小学部低学年では、絵日記を書かせることがあります。これは体験したことを文章にすることが難しい子どもに、描かせた絵を使って体験したことを話させ、文章化するための活動です。絵だけでなく、写真を用いて行うこともあります。
体験したことでも、時系列に沿って説明したり、因果関係をもとに話したりすることが難しい場合があります。使われている言葉を理解できていなかったり、言葉を知っていても助詞や文法に誤りがあり文章でうまく表現できなかったりする子どももいます。また、事象のみで自分や他者の気持ちを表現できない場合もあります。慣れるまでは定型文のようにして、話の流れや説明するときのしかたなどを学習していくと、子どもは話し方や書き方の基本を身につけることができます。
絵カードや4コマ漫画などストーリーがある具体的な事象(絵に書かれた内容)を使って、言語化し、文章化する練習を紹介します。
その1
(1) 吹き出しを空欄にした4コマ漫画を見せ、内容を想像させる。
(2) 想像した内容を話させ、吹き出しにセリフを入れさせる。
(3) 面白いところを説明させる。
その2
(1) ばらばらに切った絵カード(ストーリーカードなど)や4コマ漫画を見せ、時系列に沿って並べさせる。
(2) 各場面を文章化する。
(3) 各場面をつないだ文章にする。(「○○したら△△になったので・・・」など)
日常生活の中での会話では特に問題はなくても、学力が伸び悩む子どもがいます。教科学習の中で使われる言葉(学習言語)は、普段の生活であまり使われない用語や抽象的な表現が多いものです。一方、日常生活の中で交わされる言葉(生活言語)は体験に基づいたもので、生活言語が理解できても、学習言語が理解できるとは限りません。説明が理解できなかったり、質問を的確に理解できず正答できなかったりすることがあります。
学習言語で考えるためには、具体から抽象への転換や「もし~ならば」という思考や因果関係の推理などの論理的な思考につなげる必要があります。
<生活言語と学習言語> 生活言語の例:「ゾウはネズミより大きい。」 学習言語の例:「AはBより大きい。」 ☆「ネズミが犬より大きく、犬が馬より大きい場合、一番大きいのはどれか。」と問われると、学習言語が身についていないと経験から「馬」と答えてしまうことがある。 学習言語は、文法の高度化とともに、言葉を操作し思考する力が必要になる。 |
(1) 小学生新聞など短くて読みやすい文章を準備する。
(2) 分からない言葉を調べ、内容を説明させる。
(3) 内容を要約させる。
(4) 読み取った内容について、考えたことや背景を考えさせる。
☆ 読み取りの理解度によって、(2)~(4)で取り組ませる内容を変えて指導していきましょう。