松浦高校の新入生の皆さん、入学おめでとう。
松高教職員全員を代表して、そして、残念ながら、この会場に出席がかなわなかった、松高に関係するすべての方々に代わって、五十九回生となる、九十八名の皆さんへ、心からの歓迎を伝えます。
現在、新型コロナウィルスの感染拡大防止のため、日本各地で、世界の国々で、人々の健康・安全、そして命を守るための行動がとられています。地元松浦市、長崎県も例外ではありません。そのような中、できる限りの対策をとった上で、入学式を行えることとなりました。関係の皆様に、深く感謝申し上げます。
さて、松浦高校の校訓の第一は、「『自己開拓』に全力を注ごう」です。
私は、高校は、「自分の長所や自信の持てるところを見つけ、それを磨き伸ばす場」であると考えています。
ここで新入生の皆さんに、一つ質問をします。心の中で答えてください。
「あなたは、自分の長所を見つけていますか?」
「見つけています」という人へ。それは、本当にすごいことだと私は思います。高校三年間で「自分の長所」をしっかりと磨いてください。
「まだ見つけていません」という人へ。慌てることはありません。松高が進める「自己開拓」とは、磨けば光る宝石の原石のような「自分でも気づいていない何か」を自らの内部から掘り出し、伸ばしていくことなのですから。
松高では、「自己開拓」の時間と場所をいろいろな形で準備しています。ここでは、三つの活動を紹介します。一つ目は、「カタリバ」。自分の将来、自分の生き方を、仲間とともに語り合います。二つ目は、「部活動」。各部はきらりと光る魅力を放ち、全国レベルでの活躍もみられます。三つ目は、「まつなび・プロジェクト」。今年度から、文部科学省の研究指定を受け、「元気あふれる、ふるさとづくり」に向けて、仲間とともに、調べ、考え、発信していきます。
このような「学び」の機会を、「自己開拓」につなげていけるかどうか、それは、新入生一人一人の「本気度」にかかっています。私は、「自己開拓」に向けた、君たちの「本気度百%」を心から期待しています。
気がかりなことに、新型コロナウィルス感染拡大は、いつ収束するかわからない状況となっています。いま、地球的な規模で、一人一人の自覚ある行動が求められています。それは、「自分」を「友達」を「家族」を、そして、「社会・日本・世界」を守る行動です。校訓の第三にある、「よき市民性を身につけよう」は、皆さんが高校を卒業するまでに、もしくは卒業してからも目指す「ゴール」でもあるのですが、私たちが、今、置かれている状況は、「市民性」を身につける機会にもなり得ると考え、行動して欲しいと、私は思います。
保護者の皆様、お子様のご入学おめでとうございます。私たち松浦高校教職員一同、お子様の健康と安全そして命を守ることを第一に、お子様の成長に向けた指導・支援を進めて参ります。どうか、保護者の皆様と学校が、地元の方々、そして手厚いご援助をいただいている松浦市とともに、一つのチームとなって、お子様の教育を進めることができるよう、ご支援、ご協力をお願い申し上げます。
さて、新入生の皆さんは、先月上旬から中学校の卒業式を迎えるまで、突然の「休校」を体験しました。高校入試、卒業式もある中、とても辛かったのではないかと思います。
ある新聞に、中学生が作者と思われる短歌が載っていました。
「休校だ 友達に会えず悲しくて 今は一人で勉強してる」
自分の経験を思いだし、作者に共感する人も多いのではないでしょうか。
学校での何気ない日常の大切さをかみしめ、学校での仲間との生活や学びを心待ちにしながら、自宅で一人勉強する。これも一つの「自己開拓」だと私は感じたのです。
松高は、君たちの「自己開拓」を進める学びの場です。どのような状況にあっても、生徒たち、先生たちが支えあいながら、前向きに、一歩一歩進んでいきたいと考えています。
ようこそ、松浦高校へ。
「自己開拓」の道をともに歩んでいきましょう。
令和二年四月八日
長崎県立松浦高等学校長 小野下和宏