長崎県立佐世保東翔高等学校 第28回入学生の皆さんを 在校生 職員一同 心待ちにしていました。 保護者 ご家族の皆様も 本校に縁を結んでいただき 誠にありがとうございます。
本日は 多くの来賓の皆さまにご臨席いただき 皆様からのお祝いの言葉のあふれる中で 新入生とその保護者の皆様をお迎えすることができました。ご来賓の皆さまには 新入生が本校で学び 活動し 成長する3年間を ぜひ 支えていただければと存じます。
佐世保東翔高等学校は総合学科の高校です。キャリア学習と課題研究が3年間の教育活動の主眼です。キャリア学習は、進路や職業、働くことについて考え、体験や協働を通じて心を育て、社会に貢献できる力を身につけ、誰かのために、また、自分のために一生懸命に挑戦する人へと成長することを目標としています。また 課題研究は、地域の人や企業、研究機関とつながり 課題解決に挑み 新たな価値を創造することを目標としています。
さて 長崎県は「つながる」をテーマに据えて 時代に対応した教育により子どもたちの生きる力の育成を目指しています。この「つながる」ですが 誰かとつながるためには 相手を尊重する心や 感謝しながら学ぶという姿勢 やり遂げるとう責任感などが必要になります。そして それを言葉や態度に表すことができなければなりません。一般に社会性や社会人基礎力と言われるものです。言葉遣いや立居振舞 傾聴する姿勢 自分の意見を伝えようとする意志 仲間とともに課題を解決しようとする協働力 が高校生になる皆さんに求められているということです。
本校では 個別最適な学びに対応すべく 2年次から4系列8分野の学びの体系を準備しています。自分の興味関心を活かし 自分の強みをどんどん増やしてほしいと考えています。興味のあることを学ぶにしても もっとも効果的な学びの在り方が つながることだと考えます。そして つながる際に必要なのが 先ほど述べた社会性や社会人基礎力です。丁寧に学校生活を送り 果敢に挑戦し 自己の強みを増やす3年間を 本校で過ごしてください。
茨木のり子さんの「六月」という詩を紹介します。昭和31年 第二次世界大戦後 もう戦後とは呼べないという 新たな日本の形や新たな社会の価値を模索していた時代に作られた詩です。
六月
どこかに美しい村はないか
一日の仕事の終わりには一杯の黒麦酒
鍬をたてかけ 籠を置き
男も女も大きなジョッキをかたむける
どこかに美しい街はないか
食べられる実をつけた街路樹が
どこまでも続き すみれいろした夕暮れは
若者のやさしいさざめきで満ち満ちる
どこかに美しい人と人との力はないか
同じ時代をともに生きる
したしさとおかしさとそうして怒りが
鋭い力となって たちあらわれる
茨木のり子さんは 美しい村の一節で「男女平等で疲れを癒す時間があり人々が生き生きと暮らすこと」を願っています。 美しい街の一節で「豊かで美しい風景があり平和で夢を語り合う若者が生き生きと暮らすこと」 を願っています。美しい人と人との力の一節で「共に生きるなかで親しみを感じ 力を合わせるなかで楽しみを見出し 時には不正に対する怒りの思いが鋭い力となって時代を動かすことのできる 絆や信頼というものが人々の関係性の中に育つこと」 を願っているのだと思います。
私は 皆さんに 新たな価値の創造者であるバリュークリエーターとなって社会を支える人になってほしいと考えています。世の中の価値観が変化しようとも 何を大切にしなければならないかしっかりと見通せる人になってほしいと思います。そのために 本校での生活では社会人基礎力と学ぶ力を身につけ つながりを大切にし 多くのことに挑戦して 自己の強みを増やしてほしいと思います。
そしてダブルゴール。佐世保東翔高校でのゴールとしての目標に加えて 10年後 30年後 50年後 80年後という将来に向けてのゴールとしての目標を見つけてください。
皆さんの3年間が学びの多いものであることを願っています。
令和7年4月8日
長崎県立佐世保東翔高等学校 校長 峰 薫